フローレンタイン・カッタウェイ2016.01.16
今日はカッタウェイのお話。カッタウェイとはハイポジションの演奏性を向上させるために肩の部分を大きく抉った形状のこと。ラウンデッド・カッタウェイ、ベネチアン・カッタウェイ、フローレンタイン・カッタウェイ、ポインテッド・カッタウェイと横文字の呼び名ばかりで訳が分かりませんが、とにかく先っぽが尖がったやつと丸く尖がってないやつです。普段は丸く尖がっていないラウンデッド・カッタウェイばかりですが、今回ご依頼をいただいたので何本か尖ったフローレン・カッタウェイを作ります。
どちらが作りやすいかと言えば、どちらも一長一短があります。曲げやすさで言えばフローレン・カッタウェイの方が曲げやすいです。ラウンデッドの方はカッタウェイ部分のカーブがきついので慎重に曲げなければならず、下手をすると折れてしまうことがあるので注意が必要です。
胴組みのしやすさから言えばラウンデッドの方が簡単かも。普通に型に嵌めてライニングを貼るだけなので。フローレンの方は先端部分に尖ったブロックを嵌めなくてはいけないので少々手間がかかります。またバインディングを巻くのも少し厄介かもしれません。
ではどちらが優れているのかといえば、厳密にいって音の違いはあるかもしれませんが、それを聞き分けられる人がどれだけいるのかはちょっと疑問。純粋に見た目の好みでいいのではないでしょうか。
通常カッタウェイを施すのはテナーウクレレの場合。テナーウクレレを弾く方は上級者が多くハイポジションまで弾くのでカッタウェイの必要性を感じるのでしょう。コンサートではすることはあまりありませんが、木工的には問題ありません。ただコンサートのカッタウェイはカーブがキツ過ぎるという理由で修業時代にはフローレン・カッタウェイをよく作っていましたが、ラウンデッドでもやってやれないことはないような気もします。