ウクレレのライニングは蛇腹にすべきか?2016.01.24
ライニングは横板に表裏板を接着するための糊代になると共に、振動の起点となる部分でもあるのでとても重要なところですが、その貼り方については製作家によって考え方は様々あるようで、いろんなやり方があります。クラシックの世界だと横板に表板を接着した後から小さな三角片を一つ一つ貼り付けていく古いやり方や、そもそもライニングを貼らないという変わったやり方もあるようですが、通常長いライニングを曲げて貼り付けるのが一般的です。
私はクラシック出身でもあり胴組みのやり方も少し特殊なので、基本的にはライニングに鋸目を入れる蛇腹にはしません。2,3㎜程度の長いライニング材を胴曲げ機で形に曲げて使います。とはいえ鋸目を入れずに曲げることができるのはせいぜい3㎜位までなので、それ以上の厚みが必要なときには鋸目を入れて蛇腹にします。
例えばボディ外周にアバロン貝の装飾を施すような時です。貝の幅が1,5㎜、その両側にパフリングを入れて、さらにバインディングも合わせると溝の幅がかなり広くなるので、そういった場合には5㎜程度の蛇腹を貼り付けます。
蛇腹の鋸目の溝の深さは深ければ曲がりやすく浅ければ曲がりにくいですが、溝が深いとそこで折れてしまうことも多いので、私は鋸目を浅く切ってから、胴曲げ機で曲げるのが好みです。またラウンドしたカッタウェイ部分のようなカーブのきついところは蛇腹でないと曲がりにくいので、そんな時にはそのカッタウェイ部分にだけ鋸目を入れて曲がりやすくしたりします。
とにかくライニングは振動の起点となる肝心要の部分なので基本的には溝を入れず、装飾の必要に応じて蛇腹にするといった使い分けをしています。