スロテッドヘッドについて2015.12.16
某有名プレーヤーが使用していることもあり、よくスロテッドヘッドの依頼を受けます。スロテッドヘッドとは昔から主にクラシックギターのヘッドに採用されてきた左右に長い溝が掘られたタイプのヘッドです。アコースティックやエレキギターで採用されているフラットなヘッドに比べ、ペグをヘッド横から取り付けるためスロテッドタイプはよりヘッドが厚くなっています。
私は古い老舗工房で修業したということもあり、ネックは棹、ペグは糸巻、ヘッドの長孔を糸倉と日本語呼びに慣れてしまっているので最初スロテッドと言われてもピンとこなかったのですが、最近はさすがに慣れました。
修行時代はスロテッドの糸倉をそれこそ何千本と大型ルーターで削りました。大型のルーターだったので専用のビットで1発で削ることができます。現在ではそこまで大型の機械は導入することができないので、やり方は少し違えど原理や工程は頭に入っているので、作ることは難なくできます。
スロテッドはヘッドが厚い分、少しヘッドが重くなってしまいます。ヘッドの重さを気にされる方も多いのですが、ペグは後藤ガットの軽量ペグを付けているのでそれほどヘッド落ちは感じないと思います。
音に関してですが、ヘッドも音に影響を与えていると思うのでスロテッドかフラットかで音の違いは発生していると思います。個人的にはスロテッドの方が音が締まった感じがしますが、その辺は弾く人それぞれの感覚ですね。