ウクレレトップ落ち修理2015.12.11
ウクレレトップ落ちの原理と原因について
ウクレレ表板のトラブルとして良く見かけるのがトップ落ちという症状。ウクレレの表板は弦の張力で常にテンションがかかっているので、仕方のない部分もあります。ギターと比べて弦の張力はより弱いとはいえ、表板の厚みや構造もギターほど強くはないのでトップ落ちはよく起こります。湿度の影響も手伝ってひどくトップ落ちしたウクレレもたまに見かけます。
原理としてはウクレレブリッジの下側が弦の張力により持ちあがろうとし、ブリッジ上側が凹もうとします。大抵のウクレレではブリッジ下に補強の薄い板が張ってある簡素な構造のため、大なり小なり長い年月が経つとトップ落ちの傾向が見られます。また表板は塗装がしてありますが、表板の裏側は通常塗装がしていません。木地のままですので直接湿度の影響をもろにうけることになり、それも原因の一つと考えられるのかもしれませんね。
ではどうやってトップ落ち修理をするのか?
上記のウクレレ画像はブリッジ上側が思いっきり凹んでしまったウクレレのトップ落ち修理です。音が変わってしまってもいいということでしたので、横に走る太いバスバーを強引に貼り付けて凹みを直しました。凹みは直りましたが太いバスバーが表板の振動を妨げてしまいますので当然音は変わってしまいます。
更に本格的に直すには裏板を開ける必要があります。裏板を剥がして裏からファンブレーシングを貼り付けました。より強度が出るように5本のブレーシングです。これは表板がスプルースだったこともあり、それほど音が悪くなったということはありませんでした。ただ長年の凹みのくせがついてしまい経年変化でまたすこしづつ凹んできてしまうのかもしれません。前ほど凹むことはないと思いますが。
意外にトップが凹んしまった状態で長年安定しているウクレレも多いような気もします。大なり小なりこのトップ落ちの症状は避けて通れないですし、ウクレレの演奏に支障がなく音程も安定しているようならとりあえずは様子見でもいいのかもしれません。